西都原古墳研究所・年報（平成５年度）　第１０号　
　古墳研究所日誌より

　平成５年４月２６日から平成５年１２月１４日
　【松本原遺跡発掘調査】
　　概略すると、西都ニューホープタウン構想に伴い実施したもので、道路、総合福祉センター建設予定地、中央部の道路、北部の駐車場が開発行為によって地下遺構等に影響を及ぼすことから、順次発掘調査をした記録である。

　発掘調査結果、縄文時代から、弥生時代等の、集石遺構や竪穴式住居、鏡片、耳飾、、二重の環濠等が発掘確認されたもの。
特に、二重の環濠については特筆に値するものである。
　調査の記事を記すと、
　調査の結果、非常に注目される遺構が検出された。それは、南側から検出されたＶ字溝で、仮４号（１号）は幅１．９５Ｍ・深さ約１．７Ｍ、仮５号（２号）は幅２．８Ｍ・深さ２．０Ｍと大きく、平行に伸びており、さらに、北東約５０Ｍの第１１地点でも検出され、しかも屈曲して検出されていることから環濠と考察される。このような二重環濠は県内でも始めてで、貴重な資料であり、環濠の内側と思われる地域には大集落の存在が想定される。この環濠は時代的には共伴遺物から弥生時代中期末〜後期初頭と推定される。
・・・・以上、開発行為によって遺構等が影響を受ける部分について発掘調査を実施したが、いずれの地点からも貴重な遺構・遺物が検出された。なかでも、県内でも類例がない二重環濠や他地域との交流がうかがえる遺物などが検出され、松本原地域が歴史的に価値の高い地域であることが確認された。