邪馬台国は何処　伊都国からたどると、福岡県･大分県･宮崎県（西都市付近）

　邪馬台国の所在について、畿内説と北九州説があるが｢魏志・倭人伝」に書かれている道のりを考えても納得がいかない。畿内説は方向がちがう。それに帯方郡から邪馬台国まで一万二千里と書いてあるから遠すぎる。北九州では一万二千里の中に入り過ぎ近すぎる。もし北九州なら、投馬国への水行２０日、更に南の邪馬台国まで水行１０日の説明が不要になる。北九州なら、陸行○○里で済むはずである。一万二千里の境界線は熊本市、大分市を結ぶ線あたりになる。九州の中間辺りになるので、その境界線を国境とし、国の大きさを今の県単位ぐらいに考えれば、境界線の南が邪馬台国と考えても理にかなう。｢魏志・倭人伝」に書かれているのは、ある地点（伊都国）から見た各国の位置関係を説明していると思う。邪馬台国に至る道のりではない。

　邪馬台国の時代

　中国大陸で、紀元220年に｢魏」が、221年に｢蜀」が、222年に｢呉」がそれぞれ建国し、280年に｢呉」が滅びるまでを戦国時代という。この三国時代について陳寿が｢晋」の皇帝のために歴史書として｢三国志」を編纂した。その中の｢魏書」の中に｢倭の国」について書かれている部分を｢魏志・倭人伝」といっている。そこに｢邪馬台国」、他の国々の位置、人口などが書かれている。この解釈が論争のもとになっている。
　時代は弥生時代の終わり頃の話である。弥生時代は中国大陸からの渡来人が増加していた時代でもある。日本の歴史はこの頃から始まる。神話にもあるように天つ神（渡来人）と国つ神（原住民）が話し合われた時期なのである。神武天皇が即位した年度は、天皇在位年数の平均、干支などから推理してみると、紀元240年であるという説がある。また卑弥呼と天照大神が同一人物だという説もある。何れにしても、渡来人と、縄文人がなじんできた時期でもあり、稲作による土地や水利の争いもあって権力争いが一段落した時期とも考えられる。九州だけでなく近畿地方、出雲地方などにも権力者が現れていたものと考えられる。これは古墳の分布により推理できる。宮崎県の西都原古墳群、出雲の古墳群、近畿地方の古墳群である。この三カ所が有名である。まさに神話の舞台でもある。

　邪馬台国への道のり（｢魏志・倭人伝」による簡略文）

帯方郡（京城付近）より倭国に至るには、海岸に従って水行し、韓国を経て、
或は南行し、或は東行し、倭から見て北岸の狗邪韓国に至る。七千里。
初めて一海を渡り、千余里、対馬国に至る。
又南に一海を渡り、千余里、一支国（壱岐）に至る。
又一海を渡り、千余里、末盧国（松浦）に至る。
東南、陸行五百里、伊都国に到る（距離を前に置き、到るの字を使う）
東南、奴国に至る。百里。
東行、不弥国に至る。百里（方向に行くの字を加えている）
南、投馬国に至る。水行二十日。
南、邪馬台国に至る。水行十日。陸行一月。
次に斯馬国、次に巳百支国、次に○○国、次に○○国と21カ国の国名が列記してあり、
女王国の支配する境界があり、境界の南には狗奴国がある。
と書かれている。国名は全部で30カ国になる。

　第三の新説・邪馬台国は南九州

　新説は邪馬台国は南九州（鹿児島県・宮崎県）にあった。邪馬台国の都は宮崎県西都原古墳群に近いところと推定した。その他の国（島を除く）は県単位くらいの広さを持っていた。
　その根拠は、邪馬台国以北の国々は戸数、距離などは分かる。その他の国は邪馬台国より南になり、次は○○、次は○○という国は、遠くて戸数、距離など明らかにできないとある。しかし、女王国の支配の境の南にある狗奴国は王のいることに触れており、女王の支配にないと｢魏志・倭人伝」に書かれている。次は○○、次は○○という２１カ国は、種子島、屋久島、に連なる薩摩諸島の島々で、最後の狗奴国は沖縄本島であると推定した。沖縄は琉球王国として長い期間に渡り存在した。江戸時代まで一国をなしていた。今でも薩摩諸島の島々について明らかに話す人は少ない。
　その他、帯方郡から邪馬台国まで、一万二千余里あること。末盧国まで一万余里あったので、末盧国（佐賀県呼子）より二千余里ということは、鹿児島県の北側、宮崎県の北側、大分県の南側に至る線となる。これは邪馬台国の国境になる。
　二千余里は北九州では近すぎる。近畿では遠すぎることになる。丁度、邪馬台国の国境までが二千余里となる。
　その位置は中国大陸の｢会稽の東冶」の東にあると書かれている。つまり、現在の上海の南付近を会稽とされている。これの東は薩南諸島から南九州に当たる。更に邪馬台国の東、海を隔てて倭国があると記されている。これは四国、本州を意味している。
　｢魏志・倭人伝」に書いてある、陸行は必ずしも歩いた距離を書いたものではなく、陸上の距離と解釈した。それは、「 又一海を渡り、千余里、末盧国（松浦・呼子）に至る。東南、陸行五百里、伊都国に到る」これは末盧国から伊都国までは船で来たものと解釈した。それは地図を見れば分かるが、松浦呼子港と伊都国（前原）の間は山地が海に迫り、今でもトンネルになっている。船で来れるところへ、荷物を持って陸上の難所を歩くことは考えられない。
　伊都国は魏の使いが倭国に来て文書、贈呈の品物を渡し、とどまるところとされている。つまり魏の使いはここで終わりということになる。伊都国に到るの到るを使っているわけも分かる。魏の使いのなかには邪馬台国の都まで行った人も何人かいたかも知れないが、ほとんどは伊都国の港に滞在したと思われる。
　伊都国にとどまり、そこを中心にして諸国の位置を説明するために陸行を使用している。つまり、

「東南、奴国至る、百里」は東南に奴国があり、その国境まで百里ある。
「東行、不弥国に至る。百里」は奴国の国境から東に百里に不弥国の国境がる。
｢南、投馬国に至る。水行二十日」は投馬国は奴国の東にある不弥国の南にあり。船で二〇日かかる。陸の距離では遠くて表現できないので船での日数を書いた。
｢南、邪馬台国に至る、水行十日。陸行一月」は投馬国の南に邪馬台国があり、そこまで船で更に十日かかる。陸上を行くと伊都国から一月かかる。問題は陸行一月の解釈が、水行、と陸行が二通りに解釈するか、連続するかである。連続の場合は船で十日かかり、港から都まで歩いて一月かかるという解釈があるが、この一月を一日の誤りではないかという人もいる。この月と日の誤記ならば、水行と陸行を連続して解釈できる。船で港まで来て、その後、都まで一日かけて行くということになる。一月が正しいならば、伊都国から歩いて女王国の都まで一月かけて来たと解釈できる。


　 この読み方を素直に読んでみると、伊都国から東南、福岡の浜辺から南に延びた奴国があり。福岡の東に山地があるがそこまで百里あり、そこから不弥国がある。不弥国の南には投馬国がある。大分市付近の港に船で二〇日かかる。投馬国の南には邪馬台国がある。そこには更に船で十日かかり、都までは上陸して一日かかる。邪馬台国の都は西都市辺りと考えられる。